石川県~能登は希少食材の宝庫だった!~

今回はやや玄人向けの内容。前エントリーで触れた大浜大豆の豆腐は滋味豊かな、ふんわりした甘さのある豆腐だった。その原料である大豆がこれ。普通の大豆に比べるとやや大粒で、この能登半島の突端である珠洲市固有の在来品種なのだ。一般的に栽培されているエンレイ種などより収穫までに時間がかかるらしく、徐々にエンレイなどの効率重視の品種に押され栽培する方が減ってしまったと聞いた。
しかし伝統野菜や地域固有の農作物が見直される流れの中で、珠洲では地域ブランドとしてこの大浜大豆に力を入れている。
そもそも大豆は輸入が圧倒的に多く、大豆から加工される豆腐や油などはスーパーでは特売対象になりやすい。味は二の次で価格重視になるのは仕方ない面もあると思う。一方、この大浜大豆のような在来品種は栽培に手間(時間)がかっかたり、量が少なかったりで価格的に高くなってしまう。がしかし、画一的な原料からできる同じような豆腐ばかりじゃつまらない。大浜大豆のような多様性のある食材があるからこそ“食”が面白くなるんじゃないかと思う。このような地域に根ざした、美味しい、価値のある食材はどんどん応援していきたい。
この大浜大豆と豆腐は道の駅狼煙で売っていたもの。
このおぼろ豆腐も試食したけどやっぱりうまい。大豆ってこんな味がするんだな、って改めて気付かされた。
さて能登は旨い塩が作られる地域でもある。そこで新海塩産業さんにお邪魔した。
能登は揚げ浜塩田が日本古来の製法として有名だが、こちらは流下式塩田という製法で作っている。
下の写真をみてほしい。このような塩の結晶ができる。※毎回きれいな結晶が出来るわけではないらしい。
こちらのように簾に海水を撒いて徐々に塩分濃度を上げていく。海水の濃度は約3%なのでこの工程で10%程度まで上げる。
次にこの釜で煮詰めることで塩分を20%ほどまで上げていく。
これから煮詰めていく前の海水。舐めると相当しょっぱいぞ。ここから水分は蒸発し、塩の結晶とにがりだけになる。
この木製の枠の中で塩の結晶を寝かせる。そうすると余分なにがりが切れて美味しい塩ができる。新海さんの塩は我が家でも使わせていただいているが結晶がしっかりしているので料理の仕上げの振り塩にはもってこい。焼き魚の飾り塩なんかにもいい。
続いて、能登の希少食材である「川浦からしな」をご紹介。
そもそも国産の和がらしは珍しい。その上「川浦からしな」は能登半島の突端珠洲に自生してきたそうだ。自生するからしなは大根やかぶと交配しやすい。交配すると原種ではなくなってしまう。その昔は日本古来の我がらしというのは全国各地にあったはずだが交配が進むことで原種で残っているからしというのは希少な食材となってしまった。
今回訪問したのは5月だったので種はまだ緑色だが、6月の収穫時期には茶色に色づきはじめる。
山道を登っていくと開けた畑一面に川浦からしなが育っている。
こちらは昨年収穫されたもの。種のままの商品と磨り潰した商品。
地元では練り合わせたマスタードも販売されている。私もボイルしたソーセージに付けていただきました。味付けによる面考慮してもNB商品と比べると繊細な辛子だと思う。辛さのパンチは控えめだけど辛子そのものの風味がよく分かるマスタードだ。
さて次回は能登訪問の最終回。2011年には能登の里山里海が世界農業遺産に登録された。その能登の地域の魅力を書いていきます。